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雨の日だった。

冷たさは感じなかった。

いつからだろう。ここにいたのは。


思い出せないくらい前だったのかもしれない。


コンクリートの地べたに体育座り。


道ゆく人は私のことに気付きはしない。



皆一生懸命なのだ。


皆自分のために生きているのだ。


皆孤独なのだ。



ある日、傘が差し出された。


毎日、毎日、あなたは会いに来てくれた。


いつからだろう、孤独に冷たさを感じるようになったのは。


暖かさを知ってしまっていた。



私たちは一緒に歩くようになった。


傘の中は暖かかった。



いつからだろう。


あなたの傘の中に私はいなくなっていた。


歩む速度は変わってしまっていた。


1歩分、2歩分。


背中を追うだけの毎日。


私たちの距離は少しずつ離れていった。



見えなくなっていた。


失うこと怖さに走り出した。


見えた傘の中は、満たされていた。


そこに私の姿などなくても。

二度と、振り向いてはくれなかった。





雨の日だった。


冷たかった。


降り止むことはなかった。





bgm.雨/森高千里




「わかる? となりの町が別世界だった頃に。

 その頃に、わたしたちはもう一度もどるべきなんだよ。

 そのときに、わたしたちはもう一度思い出すの。


 本当に大切だったもの、自分自身」


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